劇団☆新感線44周年記念興行・夏秋公演『バサラオ』のちょっとした記録と感想と。

2024年8月12日

私の2024年夏が始まった‼️
今年も新感線のお芝居が観られる幸せよ😌💖
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#バサラオ
#明治座
#2024年8月
#2024年9月
Xユーザーの紫月むぅ(こと葉)◆元気が出る、こころのストレッチになる占い師💕さん: 「私の2024年夏が始まった‼️ 今年も新感線のお芝居が観られる幸せよ😌💖 #劇団新感線 #バサラオ #明治座 #2024年8月 #2024年9月」 / X (twitter.com)

2024年8月25日(日):明治座1回目

初めての明治座。
劇場の外(サイド壁沿い)には巨大な垂れ幕と幟。入り口には小さな幟。
入場の前から劇場全体が芝居になっている、こんな劇場あるんや…。


歌舞伎座、帝国劇場で感じたのに似ている、人気の劇場は手を緩めないから人気なんやね、の納得感。

肝心のお芝居。まずヒュウガの登場に息を吞む。スピード、ポーズ、表情すべてが「これしかない!」美しさ。
お芝居のシーンが格好良すぎて気が遠くなったのは久しぶり。
生田斗真さんの歌は、ミュージカルの歌い方とは少し違うように思ったが、とても素直で、頭はいいけどどこか鈍感で純粋なヒュウガそのもの。
ダンスは、もうさすが。歌舞伎経験者だからか、六方の安定感にはもう一度、もう二度、もう三度見たくなる華やかさ。

カイリは、華やかな登場シーンなどはないが、登場人物全てと深くかかわり、その時どきで表情や物腰を自在に変えながら丁寧に物語を紡いでいく。
中村倫也さんは伸びやかで素晴らしい歌声。歌の達者さが、舌先三寸で人の懐に入るカイリに通じる。
テンションを自在に操り、「実は…」「実は…!」のどんでん返しの連続、ともすればすべてが嘘っぽくなる話に説得力を持たせた演技力に、物語のラストでは震えが止まらなかった。

ゴノミカドは、古田新太さんしかない。太い芯が通っていながら柔らかく自由な声と演技で、生まれながらに誇り高い一族の頂点にしかない強さ、怪しさ、屈託のない残酷さを体現する。どうしても憎めない愛嬌も、古田さんでなければ出せなかったと思う。登場の歌はちょっとびっくりしたけどね。
「カンドカンド…」の邪悪な雰囲気から「あかんあかん!」の緊張と緩和で観客はみんな彼が好きになる。だからこそそこからの非情さに混乱して芝居が面白くなる!!
古田さんの歌は、もう少しいろいろ聞きたかったな。

キタタカは、粟根まことさんの演じた役の中で、これまでで一番愛らしい。それでありながら、シーンを落ち着かせて引っ張っていく安定感は健在。

書ききれないな。新感線の一回目は、いつも頭が、気持ちがいっぱいいっぱいになる。終演後すぐ物販コーナーに走って戯曲を買った。
次は9月1日。読み込んで整理してから観ないと。

幕間には2階「喫茶ラウンジ」で「都で流行りの桜抹茶フロート」をいただいた。こういうコラボメニューも”イイ劇場”感!


今日の席は、1階の中央上手寄り、花道のすぐ横のちょっと緊張する位置。
役者さんによって足音の大きさが随分違うな、とか、お役が大きい人ほど衣装は重そうなのに足音が軽い(小さい)な、とか、
駆け抜けるときさっと顔にあたった衣装の生地のざらっとした感触が「ええ生地使うてはるなぁ」とか、この席でしか感じられないものだったのありがたい。

二幕、扇子を振って良いところがあるっていうので準備していたけどいつだかよくわからなかったのが残念なところ。合図とか、あった?

2024年9月1日(日):明治座2回目

観劇2回目。

今日は2階中央最前列。少し上から舞台、花道全部を見ることができる面白い席。
台風が近づいているということで、今日は幟は入り口横に取り込まれていたけれど、これもいいね。

生田斗真さん、劇場にだいぶ慣れていらしたのか、前回よりも動きがスムーズで面白さが増している。
沖ノ島でカコ様にハーメルンの笛吹きするところ、これまで見たことがないタイプの面白演技で、「今日はずっと面白くなってるぞー!」と期待が膨らんだ(そして期待以上だった)。
中村倫也さんとの呼吸もばっちり。
新感線のお約束、「なにー!?」とか「ハーッハッハッ!!」は完璧。要所での目くばせ、テンションの高低で、ヒュウガとカイリの、外面と内面とのいくつもの複雑な距離感が、前回よりはっきり感じられたな。

2度目の観劇であること、戯曲を一読しての観劇であることを差し引いても変化は明瞭。

そして、今日特に心に残ったのが、りょうさん、西野七瀬さん、中谷さとみさん。「これまで新感線で拝見した中で”最高演技”やと感じた。
りょうさんはダンスや立ちでの姿勢が見るたびに良くなっていらして、強くて凛としたサキド様が、という輪郭がはっきりしてきている。
西野さんは、「月影花之丞大逆転」と比べると発声も表情も別人。よくとおる声と輝くような笑顔が、アキノの捉えどころのない狂気によく似合う。
さとみさんは、天真爛漫でありながら、アキノへの思いを強く心に秘め、大切な人のためには迷わず命を投げ出すカコ様を、いつもの面白が8割、見たことがないぐらいの切なさ2割で。ゴノミカドがたった一人傍に置いたのが彼女なの、最初は不思議、でもだんだん納得した。きれいだから、だけじゃないのね。

今日、カイリの台詞で一か所、「変わった?」と思ったところがあった。気のせいかもしれないから、次回ライブビューイングで確認。

今日は開演前に1階「花やぐら」で『欲望の桜クリームあんみつ』とコーヒー。連れは『裏切りのレアチーズケーキ』とコーヒー。
幕間は同じ席で『散華ソーダ』。連れは”さっき美味しそうに見えた”そうで『欲望の桜クリームあんみつ』とコーヒー。

コラボメニューも観劇のおたのしみ😊

本日も扇子の振りどころ今一つつかめず。二幕の頭で「振り方」の注意をして下さるけど、振りどころ、どこなん?

2024年9月7日(土):ライブビューイング(昼夜)

新宿バルト9で昼夜。
劇場で大きく全体を、ライブビューイングで細かな表情などを確認する。今回の鑑賞順は理想的。

なんか…皆さん声の調子あまり良くなかった? 疲れているように聞こえた。映画館の音響の具合だといいけどな。多分今日の録画が円盤になるのかと思うので。

そして、信じられない台詞間違いが何か所かあった。劇場で観たときは危なげなかったシーンで。
古田さんがライブビューイングの日に好調でないなんて初めてで驚き。観る方から最高級に面白くて感動的で素晴らしいお芝居は、魅せる方からは最上級に難しくて大変なんだろうなと改めて感謝した。

演技はさらに研ぎ澄まされて、映画館なのに客席から拍手・手拍子が聞こえた、むしろ映像で舞台の一部分しか観られないのが残念な気持ちになるぐらいのお芝居だったから、映像でリリースなどされる場合はぜひマルチアングルで!劇場で観たときは、舞台袖近くのほとんど暗いところでも、皆さん素晴らしい、そして重要な演技をなさっていた。多分今日もそうだったから。

もうひとつ、いつも思うのは、村木よし子さん、川原正嗣さん、武田浩二さんはライブビューイングやDVDで細やかな表情の変化や正確で精緻な身体のコントロールを堪能する俳優さんかなと思う。もちろん舞台でも素晴らしいのだけれど、新感線が使う劇場は、細かいところを見るには大きすぎるから。

前回気になっていた、カイリの台詞変更
「この女達はどうする」→「この女はどうする」
やはり変わっていた。そしてこの、たった一文字の変更が、とても重要な伏線になる。

そして、もう一か所、重要な変更があった。
鎌倉で、キタタカが隠し金と狂い桜に関わり発する言葉。
最初はヒュウガの台詞だったのが変更され、「バサラを語るな」のあの台詞が加わっていることを確認した。次の明治座が楽しみ。

2024年9月25日(土):明治座3回目(ソワレ)

多分今回公演最後の劇場鑑賞。
前回観た時より役者さんが生き生きと自由で、更に面白くなっていた。ライブビューイングを挟んでガラリと変わった印象。
ただ、慣れがすぎてか、何人かが相手のセリフを食ってしまったり、セリフを急いで間がおかしくなってしまっていたのが残念。本来あるはずの笑いや感動を削ってしまっていたからね。

8月から、ライブビューイング含め5回観て、一番変わったと感じたのは中村倫也さんかな。
カイリがなぜヒュウガとともに上を目指したか、初見では、戯曲では、「弱いかな」と感じた動機とそしておそらく本当の動機に、公演を重ねる毎に説得力を持たせていった。そのシーンだけではなく、全体を通し演技やセリフを微修正して。その緻密さたるや。もちろん演出家や共演者も素晴らしいからできたのだろうけれど、毎回目が離せなかった。ライブビューイングの日に映像の収録は終わってしまっているだろうことが本当に残念。
#バサラオ #劇団新感線 #毎ステージ違うから舞台は面白い #中村倫也

そして、 8月から、ライブビューイング含め5回観て、良い意味で変わらなかったのは生田斗真さん。
声のトーン、表情、身体の使い方は指先まで、毎回どこかにチャレンジがあって、同じステージは一つもなかったけれど、どんなに冒険しても、ヒュウガの根本の造形が崩れることはなかった。
どこか憎めない愛嬌と、桜の木の下のような冷たさと。物語の中にしかいなさそうなヒュウガを現実の存在感を持たせて作り上げ、ヒュウガが物語の中で「相手が見たいと願うヒュウガ」を演じる。重層的なお芝居で、どんでん返しの連続である複雑な物語がさらに面白くなる。新感線のお芝居は、毎日どんどん変わっていくのだけれど、ヒュウガという芯がしっかり通っていたことで、観客は何度目であっても同じように世界に浸ることができたように思う。

ロビー吹き抜けのタペストリー

今日の開演前は「明治座カレー」。幕間は再びの「欲望の桜クリームあんみつ」。このあんみつも食べおさめかぁ…。
コラボメニューで休憩中まで芝居が続いてる気分。いいね。帝国劇場も歌舞伎座も明治座も、良い劇場は入ってから出るまでずっと芝居の世界に浸れる。

本公演を約5回観ての感想。

「愛し方」(それが分からない者も含め)の話、という気がした。何を、誰を、どのように愛するか。

全体に流れる雰囲気は『朧の森に棲む鬼』に似ていた気がした。けれど、『朧』は、ライ一人の陰謀で話が進む、悪の魅力、高揚感があるのに対し、『バサラオ』はヒュウガとカイリ、二人で上を目指していく点、どこか応援したくなる、「青春」すら感じるお芝居になっていた。
生田斗真さん、中村倫也さんが持っている透明感の影響もあるかもしれない。

それから、劇団員さんたちの安定感と懐の深さを改めて認識した。客演者が自分の役割を存分に演じられるよう、いのうえひでのりさんが思い描く劇空間のベースを作り上げているのには毎度感動する。ベースといっても、劇団員さんが作った舞台の上で客演が躍るというようなものではなく、
劇団員一人ひとりがアイコンのような役柄を持ち、それを足場に存在感のあるキャラクターを作る。
劇団員の役柄があらかじめ「なんとなく」イメージづいていることで、観客は時に複雑な中島かずきさんの物語を理解しやすくなる。
進化を続けるために客演を迎え入れてきた劇団は、この独特のスタイルがあることで、唯一無二、無敵になった、と毎公演強く感動する。

そんな「イメージ」をいい意味で裏切るチャレンジで、お芝居がさらに面白くなることもあるし。
劇団と、商業系の企画演劇との良いとこ取りができる集団。改めて、足腰強いな、無敵やな、新感線と思ったよ。

ヒュウガを撮りこぼしたのは残念!

最後に、戯曲本を読んでの感想など

2024年9月14
Xユーザーの紫月むぅ(こと葉)◆元気が出る、こころのストレッチになる占い師💕さん: 「#読了 #バサラオ  #中島かずき 著 劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演の戯曲。 「実は…」「実は…」のどんでん返しや裏切りの連続。 登場人物も少なくはなく、複雑になってしまいそうなところを、 余計な説明台詞一切なしでするすると理解させるのが素晴らしい! ト書きもスマートでかっこいいので https://t.co/XvILSTr1UA」 / X (twitter.com)

#読了
#バサラオ
 #中島かずき
劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演の戯曲。
「実は…」「実は…」のどんでん返しや裏切りの連続。 登場人物も少なくはなく、複雑になってしまいそうなところを、 余計な説明台詞一切なしでするすると理解させるのが素晴らしい!
ト書きもスマートでかっこいいので 誤解を恐れずに言うと、戯曲を読んでいるというよりめちゃくちゃスピード感がある小説作品を読んでいるような感覚。
伏線の張り方と回収が鮮やかで読後にモヤモヤが残ることもなく、むしろ物語の前後にまで想像が膨らむ最高の読書になった。
舞台で変更された部分を、なぜ? と考察することで2度楽しめるのも戯曲の面白さ。 たった一文字の変更で、シーンの意味がこんなにも大きく変わるなんて!と鳥肌が立ったわ。
#論創社